忘れられないスタッフとの出会い「家族がもの申す介護」つづき

*認定調査員さん・・・ ばあちゃんが最初に介護保険のお世話になったのは、市役所の面接の担当者だ。電話で「認定してほしい」と言うと訪問してくださった。私がよほど思いつめた顔をしていたのだろう。「先に二人でお話を聞きましょう」と言われて「ばあちゃんの実の姿」を聞き出してくださった。私が持っているばあちゃん日記を「見せて」と言われ「ばあちゃんと仲が悪いので、悪口ばかりだから見せられない」と言うと「大丈夫」と言いながら「見えないものが見えることはありませんか?」とか、痴呆を見分けるヒントをもらった。「財布が無い、お前、盗ったやろ?」もきちんと見抜き、特記事項に入れてくださった。「痴呆の人は質問に答えられるから認定されにくいのです。家族のメモと特記事項が大事です。今回、認定されなくても、また3ヵ月たったら申し込んでください」と言われた。それ以後、私は要介護の予備軍を連れた家族には「日記でなくてもいいから『困ったことメモ』だけはつけておくのよ」と教えてあげている。「目が離せないですか?」と訊かれ「いやぁ..そうでも」と言うと「気が離せないのね」と言われた一言で、どれだけ肩の荷がおりたか...今も感謝しています。ただ、私達家族には普通の言葉で言ってくださいね。
*「いっこく堂」さん・・・無事「要支援」に認定された。ケアマネさんに来てもらい、週1回のデイサービスをお願いした。ばあちゃんには主治医の先生に「腰が痛いなら、体操でも習いましょう。紹介します」と言ってもらった。次に来てくださったのが、デイの主任さん。「あ!いっこく堂さん!」と見て思った。腹話術をやったらそっくりだよ。「ばあちゃん、腰、痛いんですか?来てくださいね。体操とかしますよ。迎えに来ますよ」なんと上手なこと。1回目は「老人会に行ってきた」とご機嫌で帰った。2回目は「今日はお通夜に行ってきた。夜通し座ってて、一睡もしてへん」とご機嫌悪い。私は「何をしたんですか?」とデイにどなりこんだ。主任はサンタクロースの格好で飛んできて「何もしてません。ご機嫌で帰りはりました」と言われた。近所の友達が「大丈夫。ばあちゃんはデイが嫌いじゃないよ。慣れるまで、あんたが辛抱しなさい」と言ってくれて、ほんとうにだんだん慣れてきた。いっこく堂主任は送ってくれるとき「今日は歌やったんですが、ばあちゃんも歌いはりましたで」と言いながらにやっと笑う。なんともとぼけた関西弁がいいのかも。今はショートステイの方におられて、いつもお世話になっている。助かります。
*介護スタッフのみさちゃん(本名は知らない)・・・女性スタッフが何人いるのか、名前は何か、さっぱりわからないままスタート。連絡帳に家のばあちゃんをせっせと書いているうち、一人が「おもしろい!デイでの皆さんの会話も書き留めたら、本が1冊書けます」と返事が来た。おもしろがってくれたのは彼女一人だった。今ごろ、どうしているのやら?元気だといいな。
*最初のケアマネさん・・・「博士」と呼びたい風貌で、真面目で...真面目すぎて「ステイも利用したいので、練習のために1泊させて」と頼んだら、とってくださった。「練習にはなりません。いざというときは預かりますから」と言われ、まぁ、うまいこと、断られた。それで、冷却期間を置き、改めてステイをお願いしたら、うまくいき、今に至っている。感謝しています。「いつまでも家でみられないときはどうしたらいいでしょう?」と言うと「今から入所を申し込んでおくといいです」と言われ「100人待ちです」何年かかるでしょう?
*次のケアマネさん・・・若い女性で、家庭訪問するとにこにこ。ばあちゃんが「どこから来たん?」と訊くと「ななくさですよ」「そう、車で?」と訊くと「歩いて」と繰り返していた。訪問日にばあちゃんがいないと、畑に来てくれて「職場訪問ですね」と言われる。一度「ばあちゃんはなんでボケたんやろ?」と言うと「そのおかげで、私とばあちゃんと会えたんですよ。すももさんとも会えたんですよ」