お医者さんというのは...「家族がもの申す介護」つづき

小澤勲さん・・・講演を聞いてとてもよくわかった。まり子さんがお母さんに忘れられた例で、1年たってお母さんは「近頃、まり子、帰らないわね」と言う。小澤先生は「まり子さんから受けた心の傷が癒えるのに1年かかっているのです。ましてプロの我々は何気ない一言で認知症を病む人の心を傷つけてはいけないのです」と言われた。これを聞いてたちまち尊敬した。
*最初の主治医・・・ばあちゃんは長年診療所に行きながら、何の病気か知らなかった私がうかつだった。年寄りは病院が好きだから、ぐらいに思っていた。あるとき呼び出されて「狭心症の疑いがあるので、大きな病院で検査してもらってください」と言われた。思えばこれが認知症の始まりだった。入院した初めから「おかしかった」 検査もすんで薬をあわせてもらって退院した日からまたこの先生のお世話になり月に2回の通院。そのうち、一人で行くと話がわからなくなり、私がついて行き、先生に「この頃、おかしいです」と言うと「そんなことはない」次から行く度に何度も重ねて訴えると「そう言えば、同じことを何度も訊くかな?」という認識。なぜ、お医者さんが認知症を見破れないのだろう。「同じことを訊く」レベルではなく「人間のたががはずれていく」感じなのに。
*次の先生・・・「ばあちゃんは耳が遠く、話が聞こえません」と言うと、看護師さんがメガホンを持って来てばあちゃんに話す。先生が「寒いから風邪をひかないように」と言われると、看護師さんが「家でゆっくりしてください」とばあちゃんの耳にメガホンをつけて言う。こんな抽象的な説明が理解できるわけがない。なぜ、メモに「寒いから外に出てはいけません」と書いてくれないのだろう。耳で聞く言葉が反対の耳から出て行くことをご存じないのだろう。老人施設の診療所なので、なんでわからないのだろう。
*次の先生・・・「ばあちゃんは新聞は読めますが...」と言うと「ほう〜、これ、読んでみて」と言って、他の患者のカルテの名前を指さした。これ、とても失礼なんですよ。ばあちゃんにも、そのカルテの人にも。手近にある「病気の説明パンフレット」でよいのに。
*次の先生・・・「ばあちゃんは聞いてもすぐに忘れます」と言うと「幸せな人生だ」と言われた。先生はまだ若いから、わからないのよ。ばあちゃんが「わからへん、わからへん」と言いながらどんな心細い顔になっているか、が。「本人は何もわからないから幸せ」なんて絶対に無い!!
*今の先生・・・一番良い。女医さんで優しいし、ね。話しかける感じが、ごく普通でそこが良い。