安永道生さん第3回ケアの基本スキルアップ研修(午後1時30分)「あなたのケアは大丈夫ですか?」ちょっと長いプロローグ

 まるちゃん登場「走ってます。師走です。高校生も走ってます。(駅伝だ)馬も走ってます。(有馬記念だとか)そんな中、お運びいただいてありがとうございます。北海道美瑛の老健・ほの香・療養部長・安永道生さんです。今日・明日、連続講座です。明日は認知症介護の話です。わかっているようでわからん認知症介護。明日もよろしくお願いします。また第4回のスキルアップ研修は来年2月11日、建国記念日に決まりました。」安永さん登場。
 パソコン画面は安永さんの娘である。大きくなったなぁ。2年間つづけて「つどい場さくらちゃん北海道車椅子の旅」に来てくれたが、この夏は会えなかった。ではお話をどうぞ〜。
 今日12時の北海道のお天気。気温は−2.1℃。今日も氷点下、真冬日です。皆さんは真冬の北海道は知らないでしょう?
 話、かわって、これは空知川の川下り。写っているのはまるちゃんです。(はぁ〜、まるちゃんが安永さんと川下りをしているのか)流れはゆるやかな所も激しい所もあります。川の流れに身をまかせ〜、とやっていると、世俗がばからしくなってくるのです。それが北海道のよいところ。と言うと、次から次からやってきて、我が家は毎月、ペンション状態、私はアッシー君!でも、嬉しいですね。
 昨日は大阪で講演をしました。普段はレジメを作らないのですが、今日はふりかえりのために作りました。
 1回目・2回目のやり残し。飲水の誤嚥のみきわめと対処法。
 水を飲みにくい人のために、粘性をあげること。そのための増粘剤ですが、病院でよく使われる「トロメリン」これは味がひどいし、数分たつとサラサラに戻ってしまうので、使わない。「スルーソフト」や「スルーキング」を使う。味が違う。どれぐらいの粘性をつけるかは、個人個人によって違い「Aさんにはこのスプーンで1杯半」という個別の決め方をする。
 入浴については上野さんや青山さんという優れた講師がおられる。ただ、入浴は通所の人は楽しみにしている。誘うと「あんたかい?行く〜」「あんたか?やめとく」「あんたか?おなか、いとうなった〜」と利用者は介護者を選ぶ。介護者に技術がないと選ばれない。新人教育はデイの人が帰った5時以降にする。自分勝手な自己流は許されない。技術習得まできびしく指導する。決め事はちゃんとあり、決めたとおりやれないといけない。
 おむつでも、パッドのあて方が違うと違った結果になり、あかん。昼はこう、夜はこう、と決まっていて、一覧表になっている。そしてアセスメント(評価)を行なう。
「評価をせずにケアしている人、手をあげて」皆!かい?何をどう評価するか、すらわからん?それでは介護職の賃金が低いのはしかたない。「素人」レベルである。評価というのは「いつもと違う」レベルではだめで、何がどう違う?「いつもは〜で、今日は〜である」と言えないといけない。
 北海道の浦河町に「べてるの家」という施設がある。精神障害のある人たちが暮らしている。ここでは毎朝、朝のつどいがあって、自分のことを言う。「今日は〜なので、仕事しません」「今日は頑張る」「今日は調子いいので、2時間働く」と自己申告する。ここの人たちは自分の幻覚・妄想が語れるようになった。苦しみ・病を語れるようになったとき、人として生きていけるようになった。
 介護者も自分の言葉で語れるようになるのが大事。職員の企画書を添削すると「〜がほしい」「行きたい」「楽しいときをすごしたい」ではだめで「行くことで〜が〜変わる」と書けるように...
 必要なのは「常識」。介護者も「生活」できるようにならなきゃ。掃除・洗濯・料理、できないと「生活」しているとはいえない。だから、車椅子が食べかすだらけになっていても平気であったり、髪の毛がキャスターについて車が回らないなんてことになるし、まず、家事をできるようになれ。
 朝の申し送りで「○○さんが〜しました」と問題は利用者にある、という言い方をするでしょう。でも問題は職員にあるのではないか?おまえはどんなケアをしたのか?
 認知症にもアルツハイマー型と脳血管性型とあるでしょう。ケアが違うということ、知ってるか?「説得より納得」はどちらの型?「集団」が向くのは、どちら?わかってやってるか?
「ほの香」を作って初めの何年かは職員は、ぼこぼこ。「今まで学校で学んだことは忘れろ」と言われるわけでしょ。そしたら、私に言ってくる。「この大変な人、風呂に入れるの、やってよ。やって見せてよ」わたしはやって見せる。職員は「はぁ〜」と言う。
 入浴を二人でやると安全と思うでしょ。その人に対して安全でも、二人とられると、フロア全体に対する目が足りなくなる。ちっとも努力しない。磨かない。厳しく言うと「やめます!明日から来ません!」
 ここまで言われたら、君たち、怒れ!西宮はこわいところですよ。「北海道がよくったって、あかん。西宮をなんとかしてよ」「宝塚をなんとかしてよ」と言う家族が、ごまんといる。この場で聞いて、がんがん勉強して、もの申す家族がごまんといる。私は西宮に来て鍛えられた。
 「ほの香」は朝の申し送りはやめて「個別リスト」を見て自分で「今日のケア」を確認してから仕事に入るようにした。
 鳥海さんの話。「作業とケア」を書き出し、ケアに入れるように。そして職員の提案で、10時から16時に週に5日のパートを雇った。この人たちには、シーツ交換や掃除などの作業のみをやってもらう。認知症のケアには一対一の場面が必要。職員はこちらに集中できる。ゆとりができて、30分でもその人に向き合うことができれば、安心感ができ、ゆとりがその人を落ち着かせる。
 また事故は朝食時に多いことを分析して、事故報告書を作る。個別に見ると、同じ人が同じ事故を起こすことがわかった。これが「リスク管理リスク管理は個人の問題ではなく、職場の問題。朝のこの時間に「見守り隊」がほしい。60分でも90分でもよい。介護職はいらない。見守り隊がほしい。西宮なら来るやろ?美瑛は「ちらし」を家に入れても反応がない。
 つまり単発に「食事ケア」があるのではない。みんなつながっている。介護職として責任を果たせ。すべての責任は私がとる。おまえらを守る。これは金の問題だ。金がないと頑張れない。非常勤職員を常勤にする。ところが、まじめにやっている人ほどやめていく。そして、もどってこない。前はうちをやめても、またよその施設で働くということがあった。このごろはもうこの世界から消えていく。これをなんとかしないと...