プリント「アルツハイマー病の段階別にみた認知症の特徴と認知症の人自身が語る説明」

 +は正常な人の視点からみたアルツハイマー病者の特徴
 ++はそれについてアルツハイマー病の人自身の視点からみた説明(クリスティーン・ボーデンさん著「私は誰になっていくの?」)
第1段階 軽度
+無関心、生気がなくなる
++これは、私たちがまわりのすべてのことについて行けなくなるからで、何が起こっているのかを理解できず、何かばかなことを言ったり、したりするのではないかと心配しているためなのだ。
+新しいことをしたがらない
++何か新しいことを学ぶのはとても難しく、やり方を教えてくれる人に何回も繰り返してもらわなければならないので、その人を煩わせてしまうだろうと思うからだ。
+変化についていけない
++物事の古いやり方は、残存する脳の中で記憶にしっかり定着しているのに、新しく学んだものは次々と忘れてしまうために、とても混乱しやすくなっているのだ。
+良く知っているものを求め、見知らぬものを避ける
++新しい仕事はどんなものであれ多くの努力を要するので、精神的にすぐに疲れてしまう。そして何か新しいことを試みるように頼まれると、わからなくなったり、失敗するのではないかと心配する。
+趣味や活動に興味がなくなる
++これは、すぐに疲れてしまうようになるからで、今までなら簡単にやっていたことをするのにも、これまでより一生懸命に脳を働かせなければならなくなるからだ。

第2段階 中度
+仕事には援助と監督が必要
++私たちはすぐに混乱してしまい、今までよく知っていたものでも、思い出せないことがしばしばある。
+最近の出来事をとても忘れやすい。遠い過去の記憶は概してよいが細かい点は忘れられたり、混乱したりする
++新しい記憶を覚えておくことは難しいが、古い記憶はまだかなり残っており、自分のまわりのさまざまなことをきっかけにして、過去の記憶を呼び起こすことができる。こういう過去のことを話す方が、現在のことを話すよりずっと楽で、現在起こっていることを理解するのはとても難しい。
+時と場所、一日のうちの時間について混乱する。夜に買い物に出かけるかもしれない
++私は、今日が何年何月何日何曜日かを思い出すために、一日に何回も日記を見る。以前は自分の考えの背景となっているようなことはすぐに理解できたものだった。しかも、すべて自動的にわかっていたことだった。今では日常の記憶を保っておく場所がなくなっていて、これらを心にとめておくにはとても努力が要る。
+よく知らない環境では、すぐに途方にくれてしまう
++よく知らない場所では私はうろたえてしまってうまく対処できない。自分がどの道から来たのかというような自分のいる場所についての見当識を持つためには、一連の出来事を覚えていなければならないからだ。それにどうしたものか前に進んでいるときと振り返って見る時とではすべてがひどく違って見える。