「町医者冥利」長尾和宏著 新風舎 2005年

 講演会にたった2冊持ってきてくださった。大事な後輩の先生が書かれた本ならほしい、と思い、代金は「つどい場さくらちゃん募金箱」に入れて手に入れた。
 大きな本だ。表紙には似顔絵、似てないよ。帯に「脈診。なんてシンプルでロマンのある(?)診療法かと思う。『ひとつ息のなかに人生がある』と言った人がいるが、私は『脈の中にその人の人生を感じる』ことができる町医者になりたい」とある。
 開いてびっくり。縦に文字が並んでいるだけ。40字が16行ある、しかし、行間と縦の文字間もゆとりがあって、不思議な感覚。「長尾クリニック」のホームページに「受付に積んであったので買って読んだら、大きな字で読みやすい」とあったが、はてな?とにかく、本が大きい。今、測れば横19×縦26cm、厚さ2cmもある。重い。660gもある。高齢者向きに字を大きくしても、本を持つのが重いよ。私は普段はこんな大きな本を読まないから驚きだ。上記のこれを買った人は初めは「先生の本か?」と半分ぐらい「義理」で買われたようで、読み出すとおもしろさに「やめられない、とまらない」 
 これは長尾クリニックの機関紙「和(なごみ)」に連載されたエッセーである。評判になるのもなるほど、おもしろい〜。
1.私はこうして医者になった
2.医者の本音
3.医者の現実
4.日々これ研鑽
5.私が出会った患者さん
6.あの病気の現実は?

 しかられる覚悟で書くが、やはり「笑って関西人」の部分がある。
「6.あの病気の現実は?」の中の「ハワイで温泉」2001年12月号のさいご
「個人的には、ほとんどの病気は、ハワイに行って体を温める時間をタップリとれば改善するのではと思う。かなうものならハワイに分院があり、入院の必要な人はそちらでゆっくり静養してもらえば...と書けば笑われるだろうか。
 ハワイが無理なら、せめて『あま湯』の中にクリニックがあれば、どんなに治療効果が上がるか!?いや、自分自身が温泉につかりすぎて、仕事をする気がなくなってしまうかも知れない。」
 次の「カラオケ病院」(2002年1月号)は、長尾先生はカラオケが大好きで体によいと言われる。踊りもよい。
「右脳医療こそ癒しの医療であると信じている。クリニック移転にあたり、カラオケ療法室を設置することも検討したが、院長が入り浸りになることを懸念し、実現できていない」
 あはは〜、あはは〜、でしょう?さいごの一言がきいている。
 この移転の話で現在の大きなクリニックになったのですね。
 講演の質問で「かかりつけ医の条件は?」と訊かれ「複数の医者がいること」と言われたが、一人で開業医をしていると、休めない。1日24時間、1年365日対応するには、このような複数のお医者さんを雇用するしかない。つまり長尾先生は「町医者」と言っても、ただの「町医者」なんかじゃない。クリニックで診療する先生をちゃんと複数雇って、自分も診療しながら、訪問診療したり、講演したり、たくさんの学会に所属し研究発表したり、というスーパーマンみたいだとわかった。その上で「町医者冥利」というからすごいのだ。
 ここまで読んでくださったかた、24日にもどって読んでみてください。あとで書き足していますから。