「共生舎なんてん」で働く二人の例

 滋賀県だから名前は「忍者はっとり君」と琵琶湖の「鮎子さん」にしよう。
 「(株)なんてん共働サービス」は外の仕事が多い。鮎子さんにはきつい。おばあちゃん子でやさしいし、合うのではないかと思われ「共生舎なんてん」ができたときからそこで働くようになった。
写真1.鮎子さんがおとしよりに靴をはかせている。職員がはかせようとすると「いやぁ、こんなことまでしてもろたら...」と遠慮するおとしよりも、鮎子さんなら、ごく自然に「ありがとう」と言ってはかせてもらう。ときには「反対やで」と言われることもあるそうな...まぁ、ええやん。
2.おとしよりは、80歳になっても90歳になっても「おばあちゃん」と呼ぶと、プイと横を向く。「おばちゃん」と呼ぶと「はい」である。溝口さんが「溝口です」と言っても、1分もあうれば「あんた、誰?」と訊くのに、鮎子さんが出勤していない日は「鮎ちゃん、どうした?」「いないんか?」と探している。いない鮎ちゃんを求めるのはなぜだろう?
 鮎ちゃんには「目に見えない働き」がある。「おとしよりに安心感を与えるという働き」である。「お誕生日 おめでとうございます」「「ありがとう ありがとう」自然なふるまい 自然な関係 自然な光景
3.「目には見えない働き」「おとしよりの役割をつくるという働き」 鮎ちゃんは朝、3時や4時に起きるので、午後には眠くなる。うとうと居眠りしていると、職員が「これっ、あんたはスタッフやで ちゃんと起きてなアカン!」と叱る。一緒になって叱るおとしよりもいる。が「構へん構へん 誰かて眠たい時があるわなぁ」と言う人もいる。「助け船を出す」という役割。
4.「目には見えない働き」「騒動を起こしておとしよりの役割をつく」鮎ちゃんは叱られると、おとしよりの嫌がることをすることがある。「あんたが悪い。謝りぃ」と叱る役割。「虫の居所が悪かったんやろ、もうそんなに怒らんとき」となだめる役割。
5.忍者はっとり君は掃除をしている。話すのが苦手なはっとり君は、おとしよりとの直接的関わりが難しい。そこで掃除、お茶の準備、洗濯物たたみ、水やり、など「目に見える働き」をする。「お兄ちゃん、きれいにしてくれてありがとう!」目に見える働きでも、おとしよりの気持ちは動く!
6.はっとり君が食器を洗っている。大好きな職員にとってもらった写真なので、笑顔である。「はっとり君ならでは」の仕事ができればよいのである。