「認知症 ここがわからない ここが知りたい」岸川雄介先生

  用意してくださったプリントにそって進める。《 》はそれ以外に先生が話された内容 { }は私の感想
 
(問い)認知症アルツハイマー病は同じもの?違うもの?
 血管性とか、レビー小体型とか、ピック病とか色々聞くけど、みんな認知症なの?
認知症とは、症状・状態 脳の働きを低下させる病気(認知症疾患)によって様々な症状(症候群)が現われ、その結果、その人の日常生活が著しく障害された状態。
 アルツハイマー病や血管性認知症などは、病気の名前で、それが原因となって認知症という症状が現れる。
認知症疾患によって症状が変わる 認知症の原因になる病気が違い、脳の中で機能の低下する場所が違うと、症状が違ってくる。
 病気によっては直るものもあるし、進行するものもあるし、進行しないものもあるし、いくつかの病気が重なることもある。
*治る病気:一時的障害
 甲状腺機能低下、慢性硬膜下血腫など
*進行する病気:進行する障害
 脳の変性疾患(アルツハイマー病、レビー小体病など)
 一部の脳血管性性(ビンスワンガー病など)
 脳の感染症(クロイツフェルトヤコブ病、脳症など)
*進行しない病気:固定した障害
 脳挫傷
 脳梗塞脳出血(血管性認知症)など

(問い)認知症って皆同じなの? 皆同じようなことが起こるの? 皆同じような状態になるの?
認知症は 生活場面で現れる症状なので、生活環境が違うと症状の現われ方も違います。
*脳の機能障害による症状:
  約束記憶の障害によって、約束した事を忘れてすっぽかす。《たとえば、今さっき、丸尾多重子さんに「10月31日に講演をする」と約束させられた。これが約束記憶。10月31日まで覚えていたらいいわけで、実現したら消していい。できごと記憶になる》
 生活場面における症状:
  ・中小企業の社長さんなら、会社では・・・取引先とのトラブル多発で、社員が認知症を疑う。
  ・この社長さんが亭主関白なら、家では・・・奥さんが何でもしてくれるので、何の問題も起こらず、認知症状態にはならない。《実際の例では、診察に来て、奥さんが「社員たちが夫が認知症だと言うのですが、家では何も困ったことがありません。『認知症ではない』と証明してください」と言う》
*脳の機能障害による症状:
  出来事記憶の障害によって自分がしまった場所を忘れる。
 生活場面における症状:
  ・一人暮らしの人手緊張が強く不安の高い人>「誰かが家に入って盗っていった」《物盗られ妄想》
  ・仲の良い家族と暮らし、生活に強い緊張や不安がない人>「なくなった」
認知症は病気によって起こるので、病気が違うと症状も違います。
アルツハイマー病・アルツハイマー認知症《この2つの言い方はどう違うか?治療薬アリセプトを使うのに、アルツハイマー病と書くと保険適用されず、つき返される。そのため、勤務している病院では「アルツハイマー認知症」というゴム印を作った》
  どちらかというと脳の後方の障害が強いので、情報の収集・処理障害が主体で、社会性・対人関係処理はあまり障害されない。《これが特徴。たとえば、診察の場面でも、上手に答えて上手に聞いて、はいはいと言って帰ってしまうので「認知症」と診断されずに帰ってしまうことがある。この「社会性は失われない」特徴を生かしてデイサービスを利用する。脳は情報処理機関ではない。大事なのは脳の前の方。記憶は間違っていても、人間関係が良いほうが助かる》
+ピック病
  どちらかというと脳の前方の障害が強いので、情報の収集・処理はあまり障害されないが、社会性・対人関係処理にトラブルが多発する。《この方が大変で、対応が難しく、デイサービスの効果がない》
+血管性認知症脳挫傷
  脳の中のどの場所に脳梗塞脳出血が起きたのか、どの場所の脳組織が損傷されたのかによって症状が違う。
  脳の後ろのほうならアルツハイマー病のようであり、脳の前の方ならピック病のよう。
  脳の特殊な場所(角回、視床、右半球)ならそこに特徴的な症状。
  《外国の例。ピストルで自殺しようとする場合。右手にピストルを持ち、頭にあてて引き金を引くが、失敗して生き残り、中途半端に前頭葉を損傷し、困った障害が残る。性格が変わるのだ》
  《脳が知っているのは身体の変化だけである。外からの情報を身体の変化として受け取る。たとえば、さわる。さわられたことによる身体の変化、へこむ、それを受け取る。その変化を受け取るとき、視床を通る。この視床が障害を受けると、情報が入らず、正常に受け取れない》
  《角回というのはネットワークの中心で、ここが損傷されると、字が書けない、読めない》
レビー小体型認知症・レビー小体病
  幻覚や妄想、パーキンソン症状が特徴