分科会6「ユニットやグループホームで『地域に住む』ことを実現するために」

コーディネーター 大阪市立大学大学院 生活科学研究科 長寿社会総合科学講座 准教授 三浦 研さん
 挨拶のあと「10年前と比べ、今、しくみとしては整ったが、今も『地域に住む』がタイトルになっているのは、住めていない、つまり施設に住んでいるのではないか。そもそも「住む」というイメージが実態とあっていない」と言われる。抽象的で聞いてもわからない。
 「私たちが専門職として何をすればよいか。会場に来ているのはどういう立場の人か?挙手してください。グループホームの人?」多い。「宅老所の人?」少ない。7〜8人。「小規模多機能の人?」「特養?」「老健?」「医療関係?」「障害者関係?」「地域サロン?」で終わってしまった...こら!「家族」ってないの?専門職じゃないからか?そういえば「ボランティア」も「行政」も「市民」もなかったなぁ。そうするの〜?不満、不満、不満。何か発言してみようかな?
 三浦さんの話「アンケートがある。『グループホームで食事づくりに参加していますか?』に『ほぼ毎日の人が11人』『週に3〜4回』『週に2〜3回』も少なく...『ほとんど不参加が38人』。『グループホームに地域の人が参加しているか』でも『ほとんどなし』 
 三浦さんは「これでいいのか?」と言われるかも知れないが、認知症が進むと「食事づくりに参加」どころじゃなくなるよ。「食べる」ということすら思いつかない、うちのばあちゃんには「作る」なんて危険すぎる。目の前に物があると、食べられると思うのか、急にがつがつするばあちゃんに、のどにつまらないように落ち着かせることがなかなかできないのに、である。「参加」という「形」を求めているの?「集団の力」はあるかも知れないな。ばあちゃんだって、デイに行くと信じられないような力を発揮するらしいから。

パネリスト 
1.有限会社いこい (大阪府)取締役 吉田洋司さん
  吉田さんは大阪府岸和田市生まれ。私の生まれたところのお隣の市だ。親近感がわくから不思議。
  吉田さんが高校在学中にお母さんが宅老所「いこいの家」を始められたので卒業後、アルバイトのつもりで手伝って今に至る。と書いているからといっても、聞くと大違い。「昔、家政婦をしていた母親が『認知症になると居場所がなくなるのがいやだ』と言ってある日、お年寄りを家に連れてきた。『今日からよろしく』次の朝『たすけて〜!』という悲鳴で目が覚めた。母に『何してるの?』と訊くと『こういうこともあるわよ』と」
  1995年、懇意にしていた精神科医の誘いで海外研修に参加。スウェーデンデンマーク・オーストラリアのグループホームに感銘を受けたそうだ。2003年、大阪市住吉区グループホームを開設。
  画像を見る。「お好み焼きを作っている」「玄関の花壇の手入れをスタッフと一緒にしている・一緒に楽しんでいる感じが出ている」「たこやき」「バス旅行」「近所の喫茶店」「隣の散髪屋さん・『終わったら連れに来てくれたらいいよ」で付き添い要らない・要らないどころかスタッフが知らない間にご近所の人と知り合いになっている」
  グループホームに入るときは(1)必ず本人に家と部屋を見てもらう (2)本人が気に入ったか確認する (3)利用するのに納得できる説明をする。
  またグループホームは(1)家庭的だ。料理を一緒に作る。買い物に行く。(2)地域と一緒 (3)施設じゃないからいい と言われている。が、はたして実際はどうなのか?住んでいるお年寄りには生活がある。スタッフには「生活を支えている」という認識がない人がいる。「一緒に暮らしている」というより「仕事だ」「ここが会社だ」と思っている人がいるそうだ。
  でもなぁ、吉田さん、私はそれでもかまわないと思うよ。望みすぎだよ。「仕事だ」と思うならきちんと責任を果たしてくれたらそれでいい。プロとしてやることをしてくれたらいいと思う。
 
 2.介護老人保健施設 愛生苑 支援相談部部長 宮本彰敏さん「どこに住まうとも地域住民として・・・」 
  ビデオを見る。「ふるさと発・認知症 町にでかけませんか」
  愛生苑の70人の入所者の半分が認知症である。以前は食後はデイルームでボーッとしたり机に伏して昼寝している人が多かった。あなたまかせの、してもらうばかりの生活だった。
  4年前から「サテライトデイルーム」にお出かけをする。老健から徒歩30分の所にある普通の民家である。段差もある。料理・掃除・畑仕事をする。つまり「お出かけ基地」スタッフ2人とばあちゃんたち10人で行く。たとえば「ひじきの炒め煮」を作っている。1つ1つの動作はできるが、段取りができない。味付けも忘れた。そこを援助してあげると、自分でやって、気がついたり、他の人が助けたり、次はどうしようと考えたりして、座っている時間が少なくなった。
  おでかけは他へも広がり、神社へ行ったり、掃除・買い物・地域の行事に参加したり。地域の自治会長も加わり、地域もかわってきた。工務店の社長さんはいつもお年寄りが階段に腰かけて休憩しているのを見て、ベンチを置いてくださった。おしゃべりも楽しんでいる。また道路の右側が溝なので、地域から市に言ってガードレールをつけてもらった。お手伝いに来てくれる人も出てきた。「住民だから」と言われる。
  宮本さんが言う。「『水を得た魚』でしょう。『自立した人』の姿とは、そのものさしは『できることは自分で、互いに助けあって、社会とつながって生きる』
  うた「毎日がスペシャル」雨の日はかっぱを着て行く。どこに住まうとも。
  再び「人の生きる姿を追ったら、利用者の姿が変わった」
  なるほど、ばあちゃんたちは元気になったらしい。でも「愛生苑70人のうち半分が認知症」おでかけは10人だが、毎日同じメンバーなのだろうか?この10人以外は苑に残っているのだろうか?毎日、いれかわり違うメンバーなら『継続は力なり』はあるのだろうか?雨が降っても出かけなければならないほどの緊急性はあるか?「雨降りぐらいのんびり、ぼーっといたい」のは許されないか?

 3.特養・老健・医療施設ユニットケア研究会 代表 武田和典さんユニットケアとは何か 〜利用者主体の施設から住民主体の地域へ〜 ユニットケア・逆デイサービス・サテライトケア」  
  武田さんは「きのこ老人保健施設岡山県)」の副施設長さんだ。「はじめに」の挨拶は余白に書き込んだ。要綱は文章ばかり4ページ。これは専門的で難しい。だからトイレ休憩を勝手にとって外に出た。本屋さんと「アート」を見て勝手にさぼってきた。ごめんね。