納棺

 午後、隣の従姉妹が来てくれて、私の襦袢の用意やらしてくれる。使わないまま、箪笥に入れていたら、半襟が黄ばんでいたので、裏返してつけてくれた。
 「柩に入れるとき、小さなお人形さんをお供させるんよ。一人で行かせるとさびしいから、戻ってくるで」と言う。小さなタオルの犬がある。ばあちゃんは犬が好きだったよ。散歩の犬をみつけては「かわいいな。子供か?」と毎日訊いたり「あんたも犬がいるから散歩できるんやで」と言ったりしていた。
 「おやつは?」「梨とせんべいと饅頭」「それでええわ」
 納棺は4時だった。二人の孫と私の友達も見守る。
 近所の友達にもらったパジャマは、ふわっとのせるだけ。ばあちゃんが編んだ帽子と手袋を手の横に置く。手甲・脚絆を置く。ずだ袋の中には紙で作った三文銭。犬とおやつ。香りの良いお茶の小袋で周りを埋める。白い布団をふわっとかけて、顔の周りに花を置く。
 綺麗にできた。孫たちにかつがれて家を出る。私たちも車を連ねて葬儀会館に行く。