「99.9%が誤用の抗生物質 医者も知らないホントの話」岩田健太郎著 光文社新書 2013年8月20日発行
岩田先生は神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。
神戸大学病院の生協に行くと、岩田教授の本が何種類かある。
新刊の「感染症パニックを防げ」など、あっちにもこっちにも置いてある。
はじめに
第1章 かぜに抗生物質は必要ない
第2章 21世紀の感染症の世界
第3章 「診断」という知的営為・・・臨床医、リッチな世界観を持つべし
第4章 臨床をなめんなよ・・・現場の医療レベルが上がらない、その理由
第5章 経口三世代セファロスポリンは、99.9%が誤用
第6章 日本感染症界の「黒歴史」
第7章 もっと「感染症のプロ」を・・・日本の感染症専門医、その信頼性について
最終章 さらば、「足し算」の医療・・・ポリファーマシー(多薬剤処方)の問題
この本には実際の研究データが引用されていて、インターネットで入手可能なものは、HPアドレスと岩田先生が閲覧された日が書いてある。読者も見ることができる。
すると今までのデータの無い本は、信用できないのか?という感じがする。
第2章 21世紀の感染症
世界3大感染症はマラリア、結核、エイズであり、いずれも世界で毎年100万人程度の命を奪う。
最近、マラリア対策はわりとうまくいっていて、死者数は年間65万人程度まで低下した。これはいずれも、原因は「マラリア原虫」「結核菌」「HIV」と特定されている。
この3大感染症以外に最近注目されているのは、やはり毎年100万人以上の命を奪っている感染症。
呼吸器感染症(肺炎)と下痢症(腸炎)。
いま、日本人の死因の第1位ががん、2位が心臓病、3位が肺炎。(厚生労働省・人口動態調査平成23年)
肺炎と腸炎は、原因がいろいろで、対処法もいろいろあるところが難しい。
ほんとに昔は赤ん坊が肺炎や腸炎で死んでいた。うちの祖母は5人の子どもを産んだが、長男を13歳、女の子は二人とも0歳、みんな腸炎でなくしている。村にはお医者さんがなく、「おなかをこわした」ぐらいでは隣町の医者に行けなかった。ぐったりしてから背負って行ったら、着いた時にはもう息をしていなくて、お医者さんが祖母を心配して家まで送ってきてくれたと聞いた。残った男の子が私の父だが「わしは子供を医者にする」と言って、実は歯医者にさせた。孫の代には医者が2人できた。執念だね。
なんて、難しい本は、読んでも「ふむふむ」であって、どんな薬を使うかは、お医者さんが決めることであり、自分でできることは、信頼できるお医者さんをみつけることである。今、みてもらっている先生は信頼できるのでよかったと思う。