**第18回「発達障害理解のための基礎と実践講座」  

 1月23日(日)、会場の神戸芸術センターは「ほぼ満席」のようでした。
 主催は国際ロータリー第2680地区社会奉仕委員会、主管は神戸西ロータリークラブ、協力は宝塚武庫川ロータリークラブ・神戸ベイロータリークラブ
後援は兵庫県兵庫県教育委員会・神戸市・神戸市教育委員会です。
 最初の丸尾研一ガバナーの挨拶はユーモアがあり、リラックスできました。
 講演は2つ、武田契一先生の「発達障害のある児童生徒への合理的配慮」と、金泰子先生の「思春期発達障害の心のケア」でした。
ここでは竹田契一先生のお話を書きます。
竹田先生は大阪教育大学名誉教授、今は大阪医科大学LDセンター顧問です。
2年前にもここで講演を聞きましたが、今回は迫力が違いました。
 まず、2015−2016年度に2680地区で開催されている竹田先生の講演会の一覧表が画面に出ました。合計9回です。その他にも教育委員会などが開催される会、たとえば校長先生の会などでも話されます。
 「この4月から『障害者差別解消法』が施行されます」。これだったのです、迫力の元は!
 障害のある児童・生徒の教育は、盲学校・聾学校養護学校で始まりました。
2001年から文部科学省は「特別支援教育」という呼称を使っています。それまでの対象の児童生徒に加えて、「発達障害者支援法」に定義されるLD (学習障害)、ADHD注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症なども対象になりました。(自閉症アスペルガー症候群をあわせて、広汎性発達障害と呼ぶこともあります。自閉症スペクトラムとも呼ばれます)。
 「発達障害」というのは新しい考え方で、脳の機能的な障害であると言われます。通常の発達をしている子供を「定型発達の子」とも呼ぶそうで、障害のある子は、発達にデコボコがあります。それはその子供の個性や特性と呼ばれるものですが、その子供がそのことで困っていて、支援を必要とするときに「障害」と呼ばれるようになります。保育園・幼稚園・学校などで、先生の指示が伝わりにくく、先生から「困った子」と思われるかも知れませんが、そうではなく、その子自身が「わからなくて困っている」のです。竹田先生は「日本の教育には、子供自身が困っているという観点が抜けている」と言われました。
 では「障害者に対する合理的配慮」ですが、障害者一人ひとりの必要を考えて、その状況に応じた変更や、調整などを、お金や努力などの負担がかかりすぎない範囲で行うことです。
 ここに画期的な事件をあげます。
LD(学習障害)の子供の中に、聞いて内容を理解することができるのに、文字の読み書きが苦手な子供がいます。普通学級で学んでいたら、小学校低学年なら学習の進度についていけても、中学年になり、漢字が増えると、追いつけないのです。そのため、授業中にワープロを使ったり、ノートテイクという書き取りの補助の人をつけます。
奈良県の例ですが、中学校で定期テストの時に、問題を読み上げてもらって受けた実績を内申書に書き、高校入試で「問題文の読み上げ」を申請したら、認められました。問題用紙の拡大も認められました。それは東京都・神奈川県にも広がりました。
大学入試センター試験でも、2015年から「配慮事項」が決まりました。「英語を含め、全教科の代読」です。付帯事項として「1.1.3倍の時間延長」「2.チェック解答」「3.拡大コピー」「4.別室受験」があります。
 たしかに画期的ですね!
 竹田先生は「次からもっと申し込む人が出るだろう。しかし、その時は、高校では合理的配慮をしてもらって効果があったという証拠書類がなくてはいけない。」これは学校の現場では、実践も大変、記録も大変かも知れません。それでも取り組んでほしいし、それが子供の権利だということです。