ばあちゃんは病気

 昨日は雨だった。寒くはなかった。ばあちゃんは「畑に行く」と言って、玄関から外を覗く。「雨、降っとる。行かれへん」と戻る。何度も繰り返す。
 そのうち、雨がやんで、行きそうになったので「雨のあとは、地面がぬれている。踏んだら畑が荒れる」とメモを書くと「そんなら、行かへん」と言う。しばらくすると、外へ出て行った。畑かな?まぁ、いい。本当に行かせたくないなら、止めるが、時間稼ぎでしばらく引き止めることが多い。
 また、降りだした。ばあちゃんは、帽子も服もズボンも濡れて帰ってきた。家の前の道の向こう側に行き、溝の落ち葉を拾っていたらしい。皐の下にもぐって拾ったので、服が濡れたのだろう。
 まぁ、雨の日ぐらい休めばよかろうに...しかし、疲れたらしく、夜はよく寝てくれてラッキーだった。その前の夜は、何度もトイレに来て、その度におやつ入れを開けたり閉めたり、私も目が覚めた。
 今朝は「デイサービスに行く」気満々で起きてきた。まだ「行く」メモも見せていないのに!

 ずっと前、ばあちゃんが「わからんから、訊いとる。わかるように説明するのが、お前の役や!」とわめいたことがある。では、説明してあげようじゃないか。メモを書く。
 ばあちゃんは病気です
 - ばあちゃんは病気です。畑に1日行くと、次の日は畑が嫌いになる。
 - ばあちゃんは病気です。ひとの話が聞こえない。
 - ばあちゃんは病気です。何も覚えない。
 - ばあちゃんは病気です。ひとの言うことをきかない。必ず逆らう。
 - ばあちゃんは病気です。じっと、すわっておれない。

 ばあちゃんは、耳でいくら聴いても、記憶できないが、こうして、1枚ずつ、5枚の紙を次々に出されて、最後に並べられると、理解できる。もちろん、すご〜っく怒った。言葉の暴力で虐待したかな? でも、幸い、部屋を移動したら、すぐに忘れてくれた!あは。