戦利品

 ばあちゃんはステイから帰り、部屋に手さげバッグを置いている。それがパンパンにふくらんでいる。
 タオルが2本。
 朝食の牛乳のストローが4本。牛乳には、普通のストローをつけて出すので、もともとの紙パックについていた袋入りの小さいストローが余る。昔人間で「もったいない」派のばあちゃん年代は「おいといたら、また使える」と思って、バッグになおすのだ。
 「とろみちゃん」が4袋。これは、食べ物がのどを通りにくい人のために、食事にとろみをつけるのだろう。小さめのアルミ袋入りだった。
 ハンカチに大事そうに包んでいるのは何だろう? 食パンの大きさぐらいだ。食べ残したかな? なんと、トイレットーパーをくるくる巻いてからたたんだ物! しばらく、持って帰らなかった。「持って帰ったら、あかん」といつもいつも言っていたから、もう持って帰らなくなった、と思っていたら、駄目だったのか...
 朝、お迎えのデイのスタッフに「ばあちゃんの戦利品」と言って渡すと?怪訝な顔をされた。「ばあちゃんは、たたかうおばあちゃんでしょ。だから、勝ち取った物」と言っても?? 冗談をわかってよ。どうも、ケアワーカー(ここの、だけど)の方々、冗談、駄目ねぇ。笑ってごまかさねば、ばあちゃんのような人とつきあえないよ。