「介護家族を支える電話相談ハンドブック」角田とよ子著中央法規 2013年

第1部がとてもわかりやすい。
第2部は、見開き2ページの構成になっている。赤と黒の2色刷り。
左のページの上に大きく見出しがある。
赤で「Q01」黒で「24時間拘束される生活に、もう耐えられない」
次に赤い旗が2つ。
上に「相談者」下に「介護対象者」例えば「Q1」は「相談者」娘Aさん30歳代、両親と夫との4人暮らし。専業主婦で子どもはいない。
「介護対象者」母、50歳代、軽度の認知症で要介護1。
その下に相談内容の概要がある。
最後に赤で下がりリボンの「ポイント」チェック 同居している家族の協力は得られず、一人で介護をしている。
チェック 片時も離れない認知症の母親との生活に耐えられなくなっている。

右ページは4分の3ぐらいの位置で縦線が引かれ、左右に分割されている。こちらはゴシック体になっていて、「A」つまり相談員が聞いた内容と答えた回答になっている。右4分の1には、「年齢に関する言葉は慎重に使う」などのカードに記入した注意点が、いくつかちりばめてある。最後のカードは「相談者にエールを送る」などが多い。
これは、相談にのるときの役にたつわ。カードは毎回、4から6まである。

思い出した。
2009年のインフルエンザパニックのあと「ばあちゃんを連れて田んぼはできん!」とわめいていたら、ばあちゃんは長年通っていた特別養護老人ホームに入所が決まった!2000年の介護保険スタートの年の12月からデイサービスに行き始め、2009年の夏まで通ったのだ。そんな人が他にいるだろうか?とっくに入所しているか、死んでしまっている。ひとえにばあちゃんが丈夫だったのだ。
入所して2週間後のお彼岸に、ばあちゃんは突然、死んでしまった。腹部大動脈瘤破裂だった。「痛い」とも言わずに死んでしまった。
あちこちに知らせて、みんながお葬式に来てくれた。突然死んでしまったから、なんとも言いようのない。
そんな時、角田さんは「おばあちゃんは、すももさん、もっと自由に羽ばたいて、とおっしゃっているのでは?」とメールをくださった。とてもそんな気持ちになれかなったので、よく覚えている。
腹部大動脈瘤は破裂するまで見つからなかった。いつ破裂しても、不思議はないのに、入所するまで待っていてくれた。家で突然倒れて死んだら警察のお世話になる。ばあちゃんは入所していたから救急車で運ばれて原因もすぐにわかった。娘孝行な死に方だった。
そういう話を電話相談でしたらまた違う答えになっただろうか?
その時の私の気持ちにはそぐわなかった。「そんな考えもあるかな?」とは思った。角田さんは半歩も一歩も先を行っていたのかな?

この本は、相談員にはとても役にたつに違いない。
しかし、介護の終わった私から見ると「こういうマニュアルがあるのか」という気持ちになる。
ばあちゃんに手を焼いていたころ、市の介護認定調査員さんが「目が離せない?」と聞かれたので、「いえ、そんなことはない」と口ごもると「あ〜、気が離せないのね」と言われ「そんな言葉があるんや!」
初めて「わかってもらえた」と思った一瞬だった。
ふーっ!
難しいね。マニュアルは欲しい。でも、知りたくはなかったな、と思った一瞬。