外の風

 久しぶりに中学に行った。6組に行く。
 朝、畑に行って、ゴーヤ・ゴーヤの花・モロヘイヤをとってきて、それを持って行った。廊下にはこの前、先生にさし上げた弁慶草が活けてあった。
「ゴーヤの花。いいにおいでしょ」と言うと、先生も生徒も順ににおいをかいでみる。強い香りだが「嫌いなにおいじゃないでしょ?」と言うと、「そうね」「いいにおいね」「花を初めて見たわ」とか、おおむね好評であった。先生は「料理して食べよう」と言われる。私が生徒達と「英語」のABCすごろくをしている間に、せっせと切って、ゆでて「マヨネーズあえ」と「ゴーヤだけ炒め」を作ってこられた。皆、ちょっとずつ手のひらにのせてもらって、味見をした。「うん、いけるね」と言っているうち「あ、にが!あとからくるわ」でも、だいたいは食べられたようだ。先生は「施設じゃ、ゴーヤ料理は出ないから、ね。食べてみるのも経験のうち」と言われる。そうか、私の役割はそんなところかな?週に1回、たったの3時間じゃなんの足しにもならん、と思っていたが、「先生でもなく、家族でもない大人がかかわること」と「外からの風、を体験として持ち込む」こんな所に役割があると思えば肩の力をぬいてやっていけそう。(親元を離れ、施設で生活しながら、中学に通っている生徒がいるから)
 校長先生が来られた。「あら、ゴーヤのいい香り」と言われた。「あ、おいしいね。みんなも食べたの?」と言われると、生徒の一人が口を開けた。「あら〜。口を開けるか?」と言いながら、校長先生はその子の口に、お箸でつまんだゴーヤを入れてあげた。校長先生って、みんなのお母さんみたい。