落ち着かない

 ばあちゃんは落ち着かない。朝からの仕事場が「何か、いつもの畑ではない。家ではない。ななくさでもない」と感じたらしい。座って芋を拾い、かごを持って移動する」だけでは疲れていないらしい。家に帰り、おやつの柿を持たせても、うろうろする。「行きますのんか?」と言う。もう、デイに行く気になっている。先生と待ち合わせなので、ほって行くしかない。
 先生の車でうちまで帰ると、ばあちゃんは杖をついて道に出ている。「デイの車が迎えに来る」と思っているらしい。先生には「ばあちゃんが認知症になりまして、たたかうおばあちゃんを読んでください」と言ってプレゼント。いつでも誰にでもプレゼント!あはは。
 ばあちゃんに「家に帰り」と言うと「怒られます」と言う。思い込んでいるときは否定しても駄目なので「黙れ!」作戦で行く。夫に訊くと、私が出たあろ「ご飯、もらえますのんか?」と言いながら家の中をうろうろしていたらしい。待ちきれず、外に出たのだろう。ご飯を出すと、落ち着いた。食べ終わり「昼寝」と言うと寝てしまった。やれやれ。
 午後はまた起こして、芋ほりの続きだ。今度は「わかりません」の連発で、芋を拾いながら「けっこでんな」「わかりません」と交互に言っているようなものだ。「わかりません、と言うのは、この仕事が嫌いなんやで」と私が言うと、夫が笑っていた。