「はじめての在宅医療」10の素朴な疑問に在宅医がお答えします」在宅医療を考える会編集 2007年

 +教えて下さい 1
 今、なぜこんなにも在宅医療と言われているのですか?
 +お答えしましょう
 1.家で過すことの素晴らしさの再認識、そして 2.国の立場からは医療経済的側面の、2つの要因から在宅医療が推進されています。
 ヒトは昔から、家で死んできました。40年前には、家で死ぬのが当たり前でした。しかし現在、8割(癌では9割)の人が病院で最期を迎えています。これは世界中で日本だけの事態です。
 
 (もっと詳しく 右ページに解説)
 わずか40年前には、8割の方が自宅で士を迎えていました。しかし、現在では、8割の方が病院で死を迎えています。そんな中、人生の最後は、人間らしく自宅で過ごしたいと希望される方が、最近増えてきました。医療者側も、治療効果が望めない場合、病院よりも住み慣れた自宅でご家族とともに限られた時間を過ごし、自然な最期を迎える方が人間的であるという認識にかわりつつあります。在宅医療とは、尊厳と安心の医療です。これが、患者さんと医療者双方からの自然発生的な在宅医療の需要です。
 一方、国の立場からは、経済的な側面もあります。少子高齢化に伴い国民医療費が増加し、経済的に破綻しかけています。そんな中、在宅医療というシステムは入院医療よりかなり安く済みますので、医療費削減には、大変都合のいい政策となります。でも本当は、日本の国民医療費は決して高くありません。世界規模で比較すれば、先進国中最低レベルの医療費割合です。残念ながらこの事実は、あまり知られていません。
 本来なら社会保障をもっと重視し、医療と介護似もっともっと投資すべきなのですが、現時点では、「まず、医療費削減ありき」、という論調になっています。国が、声高に在宅医療を叫ぶにはこのような背景もあります。意地悪に言えば、在宅医療とは、本来なら社会保障で行なう部分の何割かを、家族の無償の労働力でカバーしてもらって行う医療という言い方もできます。
 国が笛吹けど、在宅医療が思うように浸透しないのは、介護保険制度をもってしても介護力には限界があるからでしょう。
 これまでは「望んだ在宅」が多かったのですが、これからは「望まざる在宅」も増えてくると予想されます。
 在宅医療を美談として語るだけでなく、裏事情も知っておくことが大切かと思います。

 (こんなことをトップページにもってくるお医者さんがいるだろうか?どうも、これはただものではない、と思われる。まるちゃんが「衝撃的な出会いでした」と紹介するぐらいだから、すごい人に違いないが...
 じつは私は長尾先生が自己紹介部分で「○○高卒」と言われただけで「あ、後輩だ」とわかり、休憩時に「私、9期生」「僕は19期」で同じ先生に習った話をしただけで、もうすっかり「同じ釜の飯」仲間になった気分で、その時点で公明正大な判断をしていない。先輩なら当たり前だからあまり感激はしないが、自分よりも若い人に対しては、すごい後輩がいたもんだ、とファンになるか、追っかけになる。あはは〜。こういう性格だったのだ〜。うれしかったのだ)