連れ合いの場合は

認知症の人と家族の会」の会長の高見国生さんは、講演で「父を送り、母に死なれると、次は自分の番だ」と言われた。
 私も、ばあちゃんに死なれて、そうなんだ、と思った。
 「紫陽花の会」でも、お連れ合いを介護されている人に聞いてみた。介護者は、たまたま女性ばかりなので、ご主人を介護している人ということになる。
 ご主人が入所や入院している人に聞くと「行っても、私のこと、わからないのよ。『会ったことあるけど忘れた』て言うのよ。誰と結婚したの?と聞くと私の名前は言うのよ。でも『この人じゃない』と言うの」
 ご主人は若いときの奥さんの顔を覚えているのかもしれないね。ばあちゃんに「年、いくつ?」と聞くと「50」と言うてたもん。ご主人も若いときの記憶に生きておられるのかも知れない。
 親なら、年とって、ぼけても当たり前、身体や頭が衰えるのが普通、で「今日はあたま、つながっているやん」と笑っていられるが、連れ合いは同年代で「切ないよ」と言われた。
「定年になって、さあ、これから二人でゆっくり楽しもう、という時に病気になって悔しいわ」と言われる。「うんうん」と聞く。